最近「クレジットカード現金化」といった言葉を、インターネットや街の広告でよく見かけます。「キャッシュレス決済のためのカードなのに現金化?」と不思議に思う人や、「興味はあるけど違法ではないのか?」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。
この記事はクレジットカードの現金化に潜む違法性やリスク、そしてクレジットカードのキャッシングサービスについてのメリットなどを解説しています。興味のある方はぜひ最後まで読んでくださいね。
クレジットカードの現金化とは?
クレジットカードには、現金がなくても商品を購入できるショッピング枠というものがあります。
クレジットカードの現金化とは、このショッピング枠を利用して、商品ではなく現金を得ることを目的とした行為のことを指します。詳しい方法は後に記述しますが、ざっくり説明すると、クレジットカード決済で購入した物を売却することで結果的に現金を入手できるといったしくみです。
一旦はカード決済で支払いをするので手もとのお金が増えるわけではないのですが、意外と需要があるようです。世の中にはクレジットカード現金化業者というのも多数存在し、webサイトやSNSの広告でよく宣伝されています。
クレジットカードの現金化は違法
物を購入するためのクレジットカードなのに、最初から現金化するために利用することは犯罪では?と思う人もいるのではないでしょうか。結論からいうと、クレジットカードの現金化は法的には違法ではありません。
「利用者はカード決済で物を購入し、不要になったから売る」のであって、その行為自体に何ら問題はありません。換金目的であっても、表面上は物の売買によってお金が動いているだけなので、法で裁きようがないのです。
以前、現金化業者が明らかに安価である商品を高額な値段で売り付けたことが問題となり、逮捕されたという事案があります。これは現金化を取り締まったわけではないので、利用者は何の罪にも問われませんでした。
しかし犯罪ではないとはいえ、クレジットカード会社にとってみればカードを金儲けに利用され、さらに利用者からの返済が滞る危険性もあるためクレジットカード現金化は原則禁止行為とされています。
クレジットカード会社の条例では、クレジットカード現金化について利用規約違反とされているので注意しましょう。
クレジットカードの現金化の事例
クレジットカードのショッピング枠を利用した現金化には、主に二つ方法があります。順番に見ていきましょう。
キャッシュバック方式
一つめはキャッシュバック方式です。
現金化業者が提供するキャッシュバック特典付き商品をクレジットカード決済で購入すると、そのお礼として現金が振り込まれるといったしくみです。振り込まれる金額は、購入価格から業者の利益や手数料を差し引いた分となります。
現金化業者が販売するものは、業者が損を被らないように価格帯不明のものが多く、ほとんど無価値であるようなものばかりです。利用者はあくまで現金化が目的なので、商品自体に価値がなくても構わないという双方合意の関係にあります。
このキャッシュバック方式には、ネット上で完結する取引であるため現金化までのスピードが早いといった特徴があります。しかし、中には悪徳業者もいるので犯罪に巻き込まれないよう注意しましょう。
買取方式
二つめは買取方式です。
金券やブランド品などの換金率の高い商品をクレジットカード決済で購入し、それを買い取り業者に転売することで現金を得る方法です。転売も悪いイメージはあるものの、現状では法で厳しく取り締まりをされていません。
買取方式は、少し時間はかかりますが自分一人で行える手軽さがあります。昨今ではオークションやフリマサイトを利用して転売を行う人も多いようです。
クレジットカードを現金化するリスク
違法ではないとはいえ、クレジットカードを現金化するにはリスクが生じるということを覚えておかなければいけません。どのような危険が潜んでいるのか、詳しく見ていきましょう。
クレジット会社から重い処罰を課せられることがある
上記にもある通り、クレジットカード現金化はクレジット会社の利用規約に違反します。換金を目的にクレジットカードを利用したことが判明した場合、利用者は違反者とみなされ、ブラックリストに載ってしまうでしょう。
クレジットカード契約は利用者とカード会社の信頼取引で成り立っているので、一度個人の信用情報に傷がつくと、その後のカードやローンの審査に通りにくくなってしまいます。将来、「審査に落ちて住宅ローンが組めなかった…」なんて事態は避けたいですよね。
犯罪・詐欺に巻き込まれるケースがある
クレジットカード現金化を生業とする業者はたくさん存在します。本来のクレジットカードとは異なる使い方をしているため、慎重に現金化業者を見定めなければなりません。
悪徳業者に騙されて思わぬ形で犯罪に抵触してしまったり、業者からもらえるはずの現金が振り込まれないといった詐欺にあったりする危険があります。
クレジットカード情報を悪用される可能性がある
現金化業者から商品を購入する際、クレジットカード情報を入力する必要があります。場合によっては、クレジットカードの番号が分かる写真を求められることも…。
誤って悪徳業者に情報を流してしまうとカード情報や個人情報が悪用される可能性があります。取引の際は契約内容に不審な点がないか十分注意してください。
万が一クレジットカード情報が盗まれてしまった場合は、すぐにカードの利用を停止して被害を最小限に抑えましょう。不正利用にいち早く気づくためにも、普段からクレジットカードの利用明細をチェックする習慣をつけておきたいですね。
クレジットカードの現金化で課せられる処罰の事例
具体的な処罰の事例とともにクレジットカード現金化の危険性について見ていきましょう。
クレジットカードの利用停止・強制退会
クレジットカード条約に違反すると、利用者はブラックリストに載るだけでなく利用停止や強制退会の措置をとられてしまうケースもあります。
カード会社はカードの発行により、「不正利用に対する弁護義務」、「不良債権による残債の未回収」など、様々なリスクを背負っています。そうしたリスクを少しでも減らすために、疑いのある使い方をすると上記のような措置をとられてしまうのです。
カード会社では、過去の不正利用パターンをデータ化し、類似した決済が行われるとカードの利用制限をしたり、不審なものは問合せをしたりして確認します。特に、換金性の高いものを購入する買い取り方式は、カード会社の自動検知システムに引っ掛かりやすいです。
近年ではクレジットカード会社も不正なカード利用がないか目を光らせているので、信用情報に傷をつけないためにも、軽率な気持ちでクレジットカード現金化を利用しないようにしましょう。
残金の一括請求
クレジットカードの現金化を行うことで一時的に現金を手にすることはできますが、その後、手にした現金以上の金額がクレジットカード会社から請求されます。そして、もし違反行為をしてクレジットカードを解約される場合は、これまで利用した分のお金の一括返済を求められる可能性があるのです。
クレジットカードの一括請求が返せないとなると、信用情報機関に事故情報が掲載されてしまいます。そうなる前に早めに対処しておかなければ、今後の生活等にも影響を与える恐れがあるでしょう。
そのような危険にあわないためにもクレジットカード現金化のような違反行為には手を染めるべきではありません。やむを得ずクレジットカード現金化を利用する際は、きちんと返済のことを考慮し、最終的には消費者の損失になってしまうということを理解したうえで行いましょう。
クレジットカードで現金を引き出すならキャッシングが便利
急ぎで現金が必要という人は、クレジットカードのキャッシング枠を利用しましょう。ショッピング枠とは違い、商品を購入するためではなく、カード会社から一時的に現金を借りるためのシステムです。
もちろん後日返済しなければなりませんが、クレジットカード現金化のように多くのリスクを伴うことはありません。また、クレジットカード本来の目的に準じた行為なので、カード規約に違反する心配もないので安心です。
クレジットカードのキャッシングのメリット
お金を借りるというとマイナスなイメージが持たれがちなキャッシングですが、実はメリットもたくさんあり、使い方次第ではとても便利なツールです。
具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
即日借りることができる
クレジットカードのキャッシングの最大のメリットは、契約後であればいつでも審査なしに現金を借りられるというところです。
「急に現金が必要になったけれど持ち合わせがない」、「今月の生活費の不足分だけ現金が必要」といった場合に時間を要さず現金を入手できるのはうれしいですね。近くのコンビニで現金が引き出せたり、借りた分の金額をいつでも返済できたりするといったお手軽さも魅力です。
利用限度内であれば何度でも借りられる
キャッシングは、契約時に決めた上限の金額内であれば何度でも現金を借りることができます。
利用限度が決まっているので、最初に低めに設定しておけば使いすぎてしまう心配もありません。翌月の請求時に借りた分を返済すれば、再度上限まで利用できるようになります。また、途中で利用限度額の変更を申し込むことも可能です。
急な出費で手もとの現金が足りない時などに即時に対応できるのはありがたいですね。
担保・保証人が要らない
クレジットカードのキャッシングには担保や保証人が不要というメリットもあります。
契約の際、カード会社は利用者に返済能力があるかどうかきちんと審査するため、無担保・無保証人での融資が可能なのです。その代わりに、金利は高く設定されていることが多いです。
返済期間が長期になってしまうと、思いがけず返済額が膨らんでしまうので注意しましょう。
海外でも利用できる
海外で手持ちの現金がない時に現地の通貨を引き出したい…。そんな時に便利なのが海外キャッシングです。
ATM手数料はかかりますが、レートによっては両替所を利用するよりもお得になることも。空港や銀行で両替するよりも手間がかからないうえに、現地で大金を持ち歩く必要もないので安心です。
海外通貨への両替は手間がかかり煩わしいと思っている人も多いかと思います。出張や旅行で海外に行く機会の多い人にとっては非常に便利な機能ですね。
クレジットカードにキャッシング機能をつけるには
キャッシング枠はどのクレジットカードにも必ず付帯しているわけではなく、利用するためには、あらかじめカード会社による審査が必要です。審査は申し込みの際に利用者のキャッシング希望枠を考慮したうえで、ショッピング枠とは別に行われます。
そのため、中にはクレジットカードのショッピング枠は審査に通ったけれどキャッシング枠は通らなかったという人もいます。審査に通らなかった場合は、残念ながらクレジットのキャッシング機能は利用できません。
クレジット現金化などの違反行為が見つかってしまうとペナルティとなってしまうので、審査に悪影響を及ぼす履歴はできるだけ残さないようにしたいですね。
クレジットカードのキャッシングの注意点
メリットも多く便利なキャッシング機能ですが、いくつか注意点もあります。クレジットカードのキャッシング機能と上手に付き合っていくためには、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
計画的に利用する
クレジットカードのキャッシングは、利用限度額内であれば何度でもお金を借りられる一方で、必要以上に借入をしてしまうといった面もあります。借入金額が増えてしまうと、将来的に返済の負担が大きくなってしまうため、きちんと利用計画を立てる必要があるでしょう。
例えば、今月は収入が少なく生活費が足りないからキャッシングから充当して、収入に余裕があり出費も抑えられそうな月に返済。というように、現在の収入と支出のバランスを考えたうえで、無理のない利用を心がけることが大切です。
使用した分ショッピング枠が減る
クレジットカード全体の利用限度額は、ショッピング枠とキャッシング枠を合わせた金額になっているものが多いです。
そのため、キャッシング枠の利用が多くなれば、その分ショッピング枠の利用可能額が下がります。急ぎで現金が必要という時以外はなるべくキャッシングの利用は避けましょう。
他のローン審査に影響が出るケースがある
万が一キャッシングの返済を延滞してしまった場合、その履歴は個人信用情報に記録されてしまいます。個人信用情報とは、クレジットカードを作成したりローンを組む際の審査材料となったりするもので、銀行や消費者金融の間で共有している情報です。
その情報に返済の延滞履歴があると、審査に悪影響を与えてしまうでしょう。また、きちんと返済していても現在高額の借入残高があると、審査に通りにくくなってしまう傾向があります。
クレジットカードで現金を引き出すならキャッシングがおすすめ
いかがでしたでしょうか?
クレジットカードの現金化は違法ではないものの、多くのリスクを伴い、最終的には自身が損をするということがお分かりいただけたと思います。手軽に利用できるからといって安易に手を出さないようにしましょう。
もし、どうしても急ぎで現金が必要な場合は、クレジットのキャッシング枠をおすすめします。実際に使わなくても、いざという時のために持っておくと安心ですよ。
キャッシュレスの時代の流れで普及が広まるクレジットカード。自分のライフスタイルに合わせて、うまく活用していくことが大切です。