クレジットカードにはさまざまなサービスが付帯していますが、その中の1つに「キャッシング(お金を借りられる)」があります。
クレジットカードのキャッシングは必要な時にすぐに借りられるのが最大のメリットで、無担保かつ保証人がいりません。
ただし、キャッシングを利用する前に知っておくべきポイントがあります。その1つが「キャッシング枠」です。
キャッシング枠について理解していないと、いざキャッシングを申しこむ時に希望金額を借りれなかったり、キャッシングすらできなかったりします。
今回はクレジットカードのキャッシングにおいて最も重要なキャッシング枠について詳しく解説します。
クレジットカードのキャッシング枠って何?
キャッシング枠とは、カード会社から借りられるお金(借入)の利用限度額をいいます。
クレジットカードのキャッシングは即日借入ができますが、決して無限にお金が借りれるわけではありません。
クレジットカードのキャッシングはキャッシング枠を超えた金額を借りれないため「キャッシング枠がいくらなのか」を知っておく必要があります。
キャッシング枠とショッピング枠の違い
キャッシング枠とショッピング枠の違いをまとめると次の通りです。
- キャッシング枠:カードを使って「お金を借りられる上限金額」
- ショッピング枠:カードを「利用できる上限金額」
キャッシングはクレジットカードを使ってお金を借りるサービスのため、キャッシングで借りた金額はクレジットカードの利用金額に含まれます。
そのためキャッシング枠がショッピング枠より大きくなることはありません。
ショッピング枠が小さいとキャッシング枠も小さくなるため、キャッシング枠を増やすにはまずショッピング枠を大きくしましょう。
キャッシングが活躍する場面
キャッシングはカード会社から現金を借りられるサービスのため、本来のクレジットカードの使い方とは少し違います。
具体的には次のような場面でキャッシングが使えると便利です。
- 急に現金が必要な時
- 海外で現金が必要な時
キャッシングが活躍する場面について詳しく解説します。
急に現金が必要な時
普段クレジットカードで支払いをしていると、現金を持っていなかったり、銀行口座から引き出すのを忘れてしまいます。
そんな時に「現金のみ」のお店に入ってしまった場合は、クレジットカードのキャッシングが活躍します。
日本でも飲食店や個人経営のお店の中には、クレジットカードを導入していない店舗は少なくありません。
手持ちの現金が少なく、銀行カードを持っていない時は、キャッシングが役立つでしょう。
海外で現金が必要な時
キャッシングは日本だけでなく海外でも利用できます。
海外でキャッシングすれば現地の通貨で引き出せるため、わざわざ両替する必要がありません。
海外は国によって主流の国際ブランドが違うため、持っていったクレジットカードが使えない場合があります。
手持ちのカードが使えない時は、ATMからキャッシングして現金で支払いましょう。
ただし海外キャッシングを利用するには、日本にいるうちにカード会社へ海外キャッシング利用の申請が必要です。
また、クレジットカードによって海外キャッシングができないカードもあるので、渡航前にチェックしてください。
キャッシング枠の設定方法
クレジットカードでキャッシングを利用するには、キャッシング枠の設定が必要です。
キャッシング枠の設定はカードの発行時とカード発行後の2つのタイミングでできるので、キャッシングを利用するなら忘れずに設定してください。
各タイミングの設定方法について詳しく解説します。
カード発行時
キャッシング枠はクレジットカードを発行する時に設定できます。
設定方法は、クレジットカード申請時にキャッシング利用の申込みと、希望するキャッシング枠を申請するだけです。
設定の上限はカード会社や発行するクレジットカードの種類によって変わるので、カード発行申込時にキャッシング枠の上限がいくらか確認しましょう。
また、カード発行時にキャッシング枠の増額を申し込むと、カード会社が審査を行います。
審査の結果次第では、希望するキャッシング枠が取れなかったり、キャッシングそのものが利用できない場合があるので理解しておきましょう。
カード発行後
既存のクレジットカードにキャッシング機能を追加するには、カード会社に連絡してキャッシングの追加を申し込む必要があります。
カード会社への連絡は、電話による直接連絡のほかに、カード会社の専用サイトからオンラインで申請もできます。
カード会社によっては、キャッシングを申し込む際に「年収が証明できる書類(給与明細、確定申告書など)」が必要です。
必要な書類があるかは事前にチェックしておきましょう。
ただ、キャッシングの申請をすればすぐにキャッシングができるわけではありません。
キャッシング申請をしたら、カード会社が審査を行い、審査が通ったらキャッシングが利用できるようになります。
キャッシング枠を変更したいときは
キャッシング枠を変更する時は、カード会社に連絡して枠の変更申請を行います。
ただし、キャッシング枠を増やす申請をすると再度審査が行われ、審査が通らないと増額が認められません。
キャッシング枠はお持ちのカードの種類によって、借入限度額の上限が決まっています。
最大上限を超えた増額はいくら申請しても絶対に通らないので、お持ちのクレジットカードの借入限度額をチェックしましょう。
キャッシングの借入方法
キャッシングの設定が完了すれば、いつでもクレジットカードを使ってお金を借りられます。
クレジットカードを使って借入をする方法は、大きく分けると次の方法があります。
- ATMから借入
- 振込依頼で借入
それぞれの借入方法について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
ATM
クレジットカードのキャッシングは銀行やコンビニにあるATMから借入ができます。具体的な手順は以下の通りです。
- 「クレジットカード」を選択
- 「借入」を選択
- 暗証番号を入力
- 返済方法を選択
- 借入金額を入力
- ATMから出てくるクレジットカード・現金・明細を受け取る
上の操作手順はあくまでも一般的な方法で、ATMによって操作手順が違う場合があるので、各ATMの手順に従って手続きしてください。
振り込み
クレジットカードのキャッシングは振込でも借入できます。振込で借入する手順は次の通りです。
- カード会社の専用サイトにアクセス
- 借入申請ページに移動
- 必要項目を入力
- 後日借入金額が振り込まれる
振込で借入すると直接銀行口座に借入金額が振り込まれますから、わざわざATMから口座へお金を移動させる手間が省けます。
ただし振込による借入は、申し込んでから振り込まれるまで1~2営業日かかるため、すぐに借入金額を手にすることはできません。
また、カード会社によっては振込による借入申込ができないところもあるので、事前にカード会社のホームページなどで借入方法を確認しましょう。
キャッシングの返済方法
クレジットカードでキャッシングを利用したら、借入した金額を返済しないといけません。
返済方法は、借入申込の時に返済方法を選択できます。返済方法は大きく分けると次の3つで、それぞれに特徴があります。
- 一括払い
- リボ払い
- 繰り上げ返済
各返済方法の注意点や詳しい特徴について解説します。
一括払い
「一括払い」は借入した金額を期間内に一括で返済する方法です。
1回で借りたお金を全額返さないといけませんが、借入の時に発生する利息や手数料が少なく済むメリットがあります。
一括払いの場合、返済方法は指定口座への振込のみで、それ以外の方法では返済できません。
借入金額が少額(5万円未満が目安)の場合は、一括払いで返済するのがおすすめです。
リボ払い
「リボ払い」とは、借入金額を均等に分割して毎月返済していく返済方法です。
例えばキャッシングで借入した10万円を月々2万円ずつリボ払いで返済する場合、毎月2万円+利息を完済するまでカード会社に支払っていきます。
リボ払いを活用することで、まとまった金額を借入しても月々の返済は少なく済むため、返済のために無理する必要はありません。
ただし、毎月返済額と一緒に「利息」も払わないといけないため、結果的に返済総額が増えてしまうデメリットがあります。
リボ払いの支払い期間が長くなるほど利息の支払い分が増えますので、リボ払いを活用する時はできるだけ短期間で返済するようにしましょう。
繰り上げ返済
「繰り上げ返済」は、月々の返済とは別に返済残高をまとめて返す返済方法のことです。
繰り上げ返済をすれば返済残高が大幅に減るため、完済するまでの期間が短くなります。
さらに、繰り上げ返済によって支払うべき利息も減らせます。
キャッシングの利息は返済残高によって変わるため、例えば返済残高が10万円の場合、利息は10万円を元に計算されるのです。
しかし、繰り上げ返済によって残高がゼロになれば、当然利息は発生しません。
カード会社に支払う利息が少なくなれば返済の総額が減るため、返済残高を全額返せる目途がたったらなるべく早く繰り上げ返済で完済しましょう。
キャッシング利用時の注意点
キャッシングは急に現金が必要な時にすぐに用意できる便利なサービスですが、だからといって積極的に利用するのはおすすめしません。
なぜならキャッシングにはさまざまなデメリットがあり、キャッシングの利用方法を間違えると大きなトラブルになる危険性があるからです。
キャッシングをする際は次の2つに注意してください。
- 利息(金利)
- ショッピング枠
上の2つの注意点について詳しく解説します。
金利が高め
クレジットカードのキャッシングを利用すると、借入金額以外にも金利(利息)を支払わないといけません。
金利はカード会社によって変わりますが15~18%といわれています。
例えばキャッシングで10万円借入した場合、カード会社に返済する金額は借入金額に金利が上乗せされて約11~12万円になる計算です。
ちなみにクレジットカードで買い物をしても、支払いを「一括払い」にすれば金利は発生せず、クレジットカードで買い物した代金のみ請求されます。
キャッシングを利用すると、金利の分だけ多くカード会社に支払う必要があるので、キャッシングの乱用は控えましょう。
ショッピング枠の限度額を圧迫することがある
クレジットカードのキャッシングを利用する時は、ショッピング枠の「空き」がどのくらいあるか確認してから申し込みましょう。
キャッシングは借入限度額(キャッシング枠)内であればいくらでも借入できますが、その分クレジットカードの利用限度額(ショッピング枠)が埋まります。
例えばショッピング枠10万円のクレジットカードで2万円キャッシングしたら、クレジットカードを使って支払いができる金額は8万円になります。
今までは普通にクレジットカードで買い物ができていたのに、キャッシングが原因で買い物ができず、生活に支障が出る可能性もゼロではありません。
キャッシングを利用する時は、キャッシング枠だけでなくショッピング枠も確認し、いくらまでなら借りられるか把握してから利用してください。
キャッシングのよくある疑問
クレジットカードのキャッシングは便利なサービスですが、よく分からずに利用すると後々大きな出費になりかねません。
キャッシングに対するサービス範囲や上手な活用法を知っておけばカードトラブルも避けられますので、きちんと理解してから利用しましょう。
そこで、キャッシングのよくある疑問をまとめました。
家族カードでも使える?
家族カードを使ってもキャッシングは利用できます。ただし家族カードでキャッシングを利用するには以下の条件を満たしていないといけません。
- 本会員(親カード)にキャッシング機能がついている
- 家族カードにキャッシング機能が設定されている
- 本会員(親カード)のキャッシング枠に余裕がある
家族カードのキャッシング枠は親カードと共有のため、親カードでキャッシングを利用していると、家族カードを使ったキャッシングはできません。
また、カード会社によっては家族カードでのキャッシング自体できないものもあるため、事前にキャッシングの有無についても確認しましょう。
繰り上げ返済したら利息は減る?
繰り上げ返済をすれば利息も減りますので、返済期間中にお金に余裕が出たら、繰り上げ返済を積極的にしましょう。
キャッシングの利息は元金(借入残高)によって変わります。
例えば10万円を借入して1万円ずつ返済していく場合、毎月の返済計画は次のようになります。
- 1ヶ月目:1万円+(10万円×金利)
- 2ヶ月目:1万円+(9万円×金利)
- 3ヶ月目:1万円+(8万円×金利)
- 4ヶ月目:1万円+(7万円×金利)
しかし、返済3ヶ月目に繰り上げ返済によって5万円返済した場合、借入残高は「3万円」となるため、4ヶ月目に支払う利息は「3万円×金利」になります。
キャッシングの金利は、借入した金額や返済期間次第では借りた金額以上のお金を払うことも珍しくありません。
リボ払いでキャッシングしても、計画通りに返済するのではなく、どんどん繰り上げ返済を行って完済しましょう。
クレジットカードのポイントは貯まる?
クレジットカードのキャッシングを利用しても、キャッシング利用分のポイントは付与されません。
クレジットカードを使ってポイントを貯めたいなら、キャッシングではなくショッピングで利用しましょう。
また、キャッシングを利用すると利息が発生しますが、ショッピングで利用すると「リボ払い」で支払わない限り利息は発生しません。
クレジットカードのキャッシングは現金でしか払えないけど手持ちがない時のみ使い、カード払いができるところはクレジットカードで支払いましょう。
キャッシングはピンチの強い味方
キャッシングはカード会社から現金を借りられる便利なサービスです。特に次のような場面でキャッシングは役立ちます。
- 生活費が不足している時
- 旅行や遊びで現金を使いすぎた時
- カードが使えないお店(地域)に行く時
キャッシングは普通の借金とは違い、銀行やコンビニATMからすぐに申し込めますし、担保や保証人を用意する必要もありません。
クレジットカードにキャッシング機能を付帯させておけば、「すぐに現金が用意できる方法」として日々の生活で起こるトラブルにも柔軟に対応できるでしょう。
とはいえ「便利だから」といってキャッシングの乱用はおすすめしません。
キャッシングは「カード会社からの借金」ですから、利用した分は後日カード会社に利息をつけて返済しないといけません。
万が一返済が滞るとさまざまな金融トラブルを抱えるリスクもありますので、キャッシングは「もしもの時に使う最後の切り札」と考えましょう。
キャッシング枠を上手に使ってゆとりある生活を
キャッシング枠は、クレジットカードを上手に活用するうえで把握すべき数字です。
キャッシング利用の有無やキャッシング枠の範囲を理解することで、クレジットカードをより賢く使えるようになるでしょう。
またキャッシングを利用する前に「返済計画」をたててから利用すると、キャッシングでの失敗を防げます。
返済計画は各カード会社のホームページなどでシュミレーションできます。
キャッシング前にシュミレーションして無理のない利用を心がけましょう。
計画的に利用すればお金に関するトラブルをすばやく解決できるので、キャッシングは計画的に利用してください。