クレジットカードをお持ちの方は多いでしょう。新たに、クレジットカードを取得したいこともあります。
クレジットカードに、キャッシング機能を設定できるとご存知でしょうか。
本記事ではキャッシング枠を設定することで、クレジットカード取得・住宅ローンを借りる際に影響があるのかどうか解説します。
また、クレジットカード取得・キャッシング枠設定の審査内容・審査に落ちた場合の対処方法などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
キャッシング枠があるとクレジットカードの審査に影響はある?
キャッシング機能付きのクレジットカードを申し込んで審査に落ちたことや、新しいクレジットカードを作ろうとして、却下されたことはありませんか?
キャッシング枠があると、クレジットカードの審査は厳しくなります。それはなぜか、詳しく説明しましょう。
クレジットとキャッシングの審査は別で行われる
クレジットカードを取得する際、クレジットとキャッシングは別々に審査されます。
クレジット枠は基本的に、ショッピングに利用できる限度額、キャッシング枠はお金を借りられる限度額です。
クレジット枠は、「クレジット」という言葉がそもそも「信用」を意味しており、取得者の信用に応じて限度額が設定されます。
一方、キャッシング枠は貸金業法により、取得者の収入によって限度額が決まります。
月々の利用限度額はクレジットとキャッシングの総額として取り扱われることが一般的です。
キャッシング審査の分審査に時間がかかり難易度も上がる
前述したとおり、キャッシング枠を設定するためにはクレジットカードを発行する会社が、取得者の収入を審査しなければなりません。
特に、キャッシングの限度額を50万円以上にした場合取得者の収入証明書が必要となり、より煩雑となります。
また、他社に借入がある場合も、審査に響くでしょう。
クレジットは他社での利用があり、支払いが滞っていなければ、その利用は「信用」としてむしろプラスに働きます。
しかし、キャッシングでは、他社での利用はマイナスの評価になるわけです。
クレジットカードにキャッシング枠を設定する場合、審査はクレジットとキャッシングの2重となるため、審査に時間がかかり難易度も上がることがご理解いただけたでしょうか。
なお、キャッシング枠の付与されたクレジットカードを持っていると、それだけで「借金する可能性のある人」とみなされます。
その結果、違う会社であっても新しいクレジットカードは作りにくくなります。
キャッシング枠は住宅ローンの審査にも影響する?
住宅ローンの審査について解説します。この審査では、既に利用しているローンの有無を申告しなくてはなりません。
ある場合は毎月の返済額も申告します。金融機関が返済負担率を確認するためです。返済負担率とは年収における、借金返済額の割合のことです。
ローンもキャッシングも借金に相当するため、合わせて年収の30~35%以下である必要があります。
実は、キャッシングを利用しているいないに関わらず、クレジットカードにキャッシング枠をつけているだけで住宅ローンの審査に影響します。
キャッシング枠があるだけで、金融機関から「今後、借金をする可能性がありローンが支払われない可能性がある」とみなされてしまうからです。
キャッシング枠を設定していると、銀行など金融機関からの信用が下がることになります。
近い将来に、住宅ローンを借りる予定がある場合、手持ちのクレジットカードのキャッシング枠をすべて0円にしておいた方が無難でしょう。
キャッシング枠の申し込み方法
ここからは、キャッシング枠の申し込み方について、解説していきましょう。
キャッシング枠の申し込みについては、クレジットカードを作るときにする場合と、既に持っているクレジットカードに新たに枠を作る場合で方法が異なります。
クレジットカード作成時に申し込む
クレジットカード作成時に、キャッシング枠の申し込みも同時に行うケースです。
この際、本人確認・職業・勤務先・年収の申請などが必要になります。審査に通ればクレジット会社から限度額が設定され、クレジットカードが発行されます。
この時キャッシング枠が1社で50万円を超える、もしくは他社と合わせて100万円を超える場合収入証明書が必要です。
クレジットカード作成後に申し込む
既に持っているクレジットカードにキャッシング枠を申し込むこともできます。クレジット会社によって、方法は様々ですが、申し込み自体はネットや電話で可能です。
ただし、審査は新たにクレジットカードを作りキャッシング枠を設定する場合と同様に行われます。
また、信用がないと小さくなりがちなキャッシング枠ですが、クレジットカードで地道に信用をつけていけば枠が広がる可能性もあるでしょう。
キャッシング枠の増額・減額も可能
キャッシング枠の増額・減額も可能です。会社によって、方法は様々ですがネットや電話で可能なことがほとんどになります。
前述したとおり、大きなローンを組む際などには注意が必要です。枠の減額や、キャッシング枠自体を無くすことを検討しましょう。
キャッシング枠が大きければ大きいほど、金融機関・カード会社からの信用は下がることには留意してください。
キャッシング枠の審査内容
キャッシング枠を設定するには、審査が必要だと前述しました。
では、審査の内容はどういったものなのでしょうか。ここからは、その審査内容について解説していきます。
収入
まず、収入です。キャッシング枠が1社で50万円以下、もしくはすべてのクレジットカードのキャッシング枠の総額が100万円以下の場合です。
この場合、収入は自己申告になります。それ以上に枠を設定したい場合は、収入証明書を提出する必要があります。
収入証明書とは、役所で発行してもらえる「課税証明書」や会社からもらった「源泉徴収票」などです。キャッシング枠の総額は年収の30~35%以内なら設定できます。
ただし、住宅ローンや車のローンなどで他に借金がある場合はこの限りではありません。借金は総額で、年収の1/3と覚えておきましょう。
勤務状況
キャッシング枠を設定する際、クレジット会社から勤務状況の調査が行われます。
在籍確認、勤務歴などが調査の対象です。入社したばかりであったり、定年間近であったりすると、不利になるでしょう。
この調査の際、電話で勤務先に連絡が入ります。出向していたりする場合、確実に連絡の取れる電話番号をクレジット会社に伝えておきましょう。
信用情報
キャッシング枠を設定するときに、最も重視されるのがこの信用情報です。
クレジットカード支払い履歴・延滞履歴など以下の3つの信用情報機関で管理されています。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
機関ごとに加盟する団体の業種などは異なりますが、信用情報は3機関で共有です。
この信用情報へのアクセスは、コンピューター化されて、クレジット会社・貸金業者は最初にここにアクセスします。
過去に大きな延滞などがあると、事故情報として5年間、記録の保存が原則です。事故情報が記録されると、キャッシング枠設定に大きな影響があります。
総量規制
近年、過度の借入による消費者への被害を防ぐ方策がとられるようになりました。
つまり貸金業社よりの借入は貸金業法で、総量規制により決められています。その額は年収の1/3までです。
住宅ローンなどで銀行から借入がある場合もあるでしょう。金融機関は貸金業者ではないので、キャッシング枠に直接影響はありません。
また、ショッピングクレジットの支払い残高も総量規制には含まれません。
さらに、これら以外にも自宅が自身もしくは家族の持ち家であるか、住宅ローンの支払い残高があるかなども審査の対象です。
はっきり明示してあることはあまりありませんが、国籍も審査の対象になることがあります。
キャッシング枠を持てない方の特徴
クレジットカードを持てても、キャッシング枠を持てないケースもあります。
収入の1/3まで借りられるのは、収入がなければ借りられないのです。基本的に、収入のない方はキャッシング枠を持てません。
また、過去にクレジット会社への返済が滞ったなどの事故を起こしていると、キャッシング枠を持てないか持つのが難しくなります。
では、収入のないケースについて解説しましょう。
無職・専業主婦の方
無職の方、パートなどの収入のない専業主婦の方も無職とみなされます。無職であれば、無収入であるためキャッシング枠を持つことはできません。
返せないことが確実の借金を貸すことはできないからです。
ただし、無職・専業主婦であっても年金受給者であれば、無収入ではありません。ですから、キャッシング枠を設定できるケースもあります。
また、現在、無職であっても以前にクレジットカードで事故を起こしたことがないケースもあるでしょう。
クレジットヒストリーがきれいな場合は、キャッシング枠を設定できる場合もあります。
現在求職中など、いずれ返済が可能であると想定できるケースもあるので、キャッシング枠の申請にトライしてみるのもよいかもしれません。
未成年・高校生の方
18歳未満・また18歳に達していても高校生の方には、クレジットカードを発行しない会社がほとんどです。
18歳以上で、高校生でなくなればクレジットカードを作れるようになり、定収入があればキャッシング枠も持てるようになります。
クレジットカードを年齢の早いうちに作ることで、クレジットヒストリー(信用史)を積み上げておけて、将来経済的に有利に働くこともあるでしょう。
また、上記のケース以外にもキャッシング枠を設定できないこともあります。
例えば、支払いを滞納している借金があったり短期間で複数社に申請していたりすると、キャッシング枠を設定できません。
住所や職業が不詳な場合も難しいでしょう。新たな申請に対して、不信感を受けるような実績は作らないようにします。
キャッシング枠の審査に落ちた場合の対処法
クレジットカードを新規に作ってキャッシング枠を設定したり、既に持っているカードに新たにキャッシング枠を作ろうとしたりしているとしましょう。
この場合でも、審査に落ちることがあります。
このような時、どのように対処したらよいのでしょうか。以下に解説します。
信用情報を確認する
まず、自分の信用情報を確認しましょう。信用情報機関に問い合わせることで、自分の信用情報を得られます。
例えばCICであれば、ネットなら500円、書面を郵便で受け取りたいなら1500円で情報を取得可能です。
信用情報に事故記録があれば、事故の規模に応じて数年間は新たなキャッシングはできません。記録が消える時期まで待ちましょう。
申し込み金額を少なくする
延滞などの事故がなくても、収入や信用実績が足りないとキャッシング枠が多くは作れないこともあります。
審査に落ちたときには、キャッシング枠の金額を少なくしてみましょう。減額して、改めて申し込むと審査に通るケースもあります。
他に考えられるケースを見てみましょう。総量規制をよく見てみると、他社での借入が原因となる場合です。
合計金額を確認して、キャッシング枠を設定し直しましょう。
また、今後延滞せずクレジットヒストリーを積み上げていけば、将来キャッシング枠を増額することもできるようになります。
キャッシング枠の審査が心配なときは
上記を踏まえて、キャッシング枠の審査が心配な時があるかもしれません。
その場合には、まず自身の信用情報を確認しましょう。また、自身の借入総額を確認してください。
住所不定であったり、職業不定であったりすると審査が通らない可能性が高くなります。
クレジットカードのキャッシング枠にこだわるよりも、カードローンについて検討してもよいかもしれません。
また、審査が通らないのは、余裕がないことの裏返しでもあります。安易に民間の金融機関に頼らない方がいいケースもあるでしょう。
政府や自治体が運営を担っている公的金融機関から借入することも可能です。
自営業の方なら、日本政策金融公庫や制度融資などを検討しましょう。
それ以外の方でも、生活福祉協議会が運営する、生活福祉貸付制度を利用できます。
以上はすべて借金ですから、返済の義務があります。
失業や病気・怪我などで、将来返済の見通しが立たないのであれば、生活保護などのセーフティーネットを活用することも検討しましょう。
キャッシングやカードローンといった民間の借金は、長い目で見ると利息の負担が非常に大きくなります。
返済に何年もかかるケースもあります。あまり頼りすぎないようにしましょう。